日本の特殊な匿名ネット文化が当たり前だと思っていると、社会生活全般の当たり前を失念しがちになります。これから述べることは、匿名ネットにあまり親和性がない人からすると、当然過ぎて、全く面白味の欠けらさえないでしょう。
ある婚活してる女性が、以前交際していた男性が自身のSNSをチェックしているのではないか?と訝しがっていました。そして、アカウントに鍵をかけ、これから交際する前提がある人にSNSなどの個人情報を教えないというのです。
さて、ここで、2点の疑問が及びます。
A.交際前提の相手に個人情報を教えないのは妥当か?
B.以前関係があった人が自身のSNSをチェックするのは倫理的に問題か?
A.交際前提の関係とセックスフレンドの違いは信用の有無です。この場合の信用とは、社会的信用です。
交際するとは、お互いにある程度のプライバシーを侵害し合い、支え合うことになるので、社会的信用がない状態では、危険なことになり得ます。
例えば、相手が誰かと既に関係を持っていたり、膨大な借金があったり、身分を偽っていたり、結婚詐欺師てことすらあります。
さて、信用とは、交際してから発生するのでしょうか?それとも交際する前でしょうか?
交際中の、そのような嘘偽りが「裏切り」とされるのは、交際前の信用が「裏切られた」からです。つまり、一定の社会的信用は交際前に発生しています。
次に社会的信用は実際に社会ではどこから発生しているでしょうか?
社会的信用がない人を企業は雇いません。面接も試験もやらずに、よく知らない人を雇う企業はありません。雇う人が信用があるかどうか、当然SNSをチェックするでしょう。
無論、法的には、一定期間雇った後、経歴が違っても、雇用関係を停止するのは難しいですが、これは特殊事例と言えます。
理論的な話でなく、現実的に友人ですらSNSを交換するのに、交際前提の相手にそれをしないというのは大変失礼でしょう。信用してない相手と交際前提の関係になるというのですから。
B.SNSのチェックは法的に全く問題ありません。何故なら、損害が発生していないだけでなく、そのSNSを公開しているという点である程度のリスクを自分で負っているからです。
自身が告げていないアカウントをチェックされることも、当然ながら法的問題になり得ません。
倫理的な問題とするなら、交際前提の人や交際可能性がある人ーこの場合の交際とは、夫婦、恋人、友人、同僚、部下、上司、あらゆる可能性ですーは相手の社会的信用について、非常に気にせずにはいられません。
むしろ倫理的には誰かに「お前はSNSをチェックするな」とは言えません。何故なら、「お前は信用できない」と言っているのと同じであるし、「私は信用に値しない」と公表しているのと同じだからです。
やましいことがなければ、名刺と同様にSNSを公開できますし、相手にチェックされても、何の痛痒も感じない筈です。
さて、ここで疑問が生じます。
何故、自身のSNSをチェックされてはまずいのか?とりわけ交際前提の人に。
第一は法的リスクを掲げる人がいるでしょう。それは現実的に、今の婚活や恋活のパートナー候補が社会的に信用できない前提だからです。当然、そのユーザーである自身も社会的に信用がありません。
これは今の制度が全く使い物になっていない証左です。現実にもし関係を発展させたいなら、リスクをとって、個人情報を公開する必要があります。
第二に、自分のイメージを相手に偽っているからです。これは恋愛テクニックや交際テクニックが先に来ているため、自分の真なる姿を告げると、相手との関係が進展しないように思えるからです。
しかし言うではありませんか?自分の真なる姿を受け入れられない相手と交際する価値はないと。
実際問題、交際前提の相手にSNSをチェックされて法的問題になるなら、とっくのとうにそれ以外の有象無象にやられています。仮にそのような人が犯罪行為をしても、すぐに公的機関に特定されてしまうでしょうから、彼らも手控えざるを得ません。
また、悪戯されるかもしれませんが、恨まれるような付き合いをしていなければ、悪戯されることないでしょう。
僕はたとえオンラインでも、非常に丁寧に断りました。彼女は特定できるて言ってましたんでね。
一般的にも、基本的にも、当然ながら、個人的な付き合い、それも結婚前提の交際になり得る関係ならば、胸襟を開くのがあったり前です。
もちろん、一度あったきりの人に細かい個人情報を出せ、とは思いません。しかし何度か会っているなら、SNSの交換くらいあったり前でしょう。
自身と相手の信用問題であり、それが一番肝要な部分なんですから。
SNSをチェックされたごときで大騒ぎする意識が理解できません。むしろSNSをチェックしてもらったと思うべきでしょうね。リスクをとらないで、どうして信用を得られましょうや?
皆さんは自分を信用してもらいたくはありませんか?
まさか自分が信用に値しないと思っていないでしょう?