merlinrivermouth’s diary

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ネット左翼の左翼性

ネット左翼の左翼という部分についての論評はネット右翼よりも遥かに複雑にならざるを得ない。要因は四つある。

ネット右翼は安倍政権や菅政権或いは歴史つくる会日本会議のような現状認識に「少しでも」批判的な言説を行う者をネット左翼としてる。

②左翼の類型自体が多く、基本的には接合していない。しかも、ネット右翼ネット左翼も、或いは単に政治にコミットする人々のほとんどは定義や歴史的経緯を知らない。

ex)社会民主主義自由主義から派生しているが、共産主義自由主義の否定から始まっていて、最終的な目標も違う。また日本ではフェミニズム社会民主主義と共闘しているが、本来のフェミニズム新自由主義と相性が良く、社会民主主義と相性が良くない。フェミニズム単体であれば、経済的には右翼である。しかし、ネット民だけでなく、日本人の殆どはフェミニズムの活動家を左翼と見做している。

③安倍政権や菅政権に批判的な者は非常に幅広い。財界の半分以上(菅政権に限る)、教養がある人、道徳的な人、右翼政策で困る女性、国家二種以下の公務員、営業に困る中小事業主、非正規労働者。つ、ま、り、ネット上に現れる安倍政権や菅政権、ネット右翼への批判が全てネット左翼ではなく、結果的にネット左翼の姿をカモフラージュしている。

ネット右翼が悪目立ちし過ぎている。ネット右翼の多くは人格が破綻している投稿を非常に多く行なっている。ネット右翼に批判的なものは逆説的に世間サイドであるため、ネット左翼も適正な言説を行わなくとも世間サイドとして扱われやすく、問題認識されることがない。

 

これらの現状から、ネット左翼を以前話した定義付けに限定する。即ち①学問や理論、現実に適合的でない。②社会人としての最低限のモラルがなく、正当な対話手法をとれない。③匿名である。これらの条件を有するネット民として扱う。

 

Aネット左翼の政治的スタンス

以前話したように、ネット左翼ネット右翼だった蓋然性が高く、ネット右翼と同じくネット民である。ネット左翼ネット右翼の違いは政治的言説に違いがあるが、立場性に大きく隔たりがあるわけではない。例えば、ネット左翼は基本的に国民民主支持であり、立憲民主支持は多少いる程度である。政治的には右翼である。それらは経済政策というより彼らの考える国家観が国民民主と似ているからで、社会民主主義共産主義を嫌悪している。

私個人の感想では、おそらくネット左翼国家主義国益重視の政策を実現するには、安倍政権では難しいと考えて、国民民主支持であるように思える。つまり政治的には、ネット左翼ネット右翼より知識や考える頭が多少あるだけで、何か特筆する違いがあるように思えない。

 

Bネット左翼個人の精神的価値観

ネット左翼ネット右翼と同じく、異論を正当でない手段によって排除する傾向が強い。例えば私自身は彼らよりもレフティーの意見を言ったにも関わらず、「ネット右翼」と評されたことは少なからずある。

しかし、ネット右翼がそれでいてヒエラルキーを否定しているのに対し、ネット左翼ヒエラルキーに対してはそれほどアレルギーはない。勿論、一般の社会人よりはあるが、左翼ではないため、自由主義個人主義などの価値観に沿って、ヒエラルキーにアレルギーがあるわけではない。

これらから、彼らはネット右翼より多少は社会性があるネット民で、社会との接点があるため、ネット右翼的であってもネット右翼になりきれない人々であると判断できる。おそらくそれが原因で、ネット右翼と喧嘩し、自身をネット左翼と自己規定したのだろう。私の推測では、ネット左翼を産んだのはネット右翼である。

 

Cネット左翼の自己評価

ネット右翼より知識があり、考える頭も多少は残っていて、社会との接点もあるため、ネット右翼のように破綻したメタ認知をしていない。つまりネット左翼は自己を左翼とは規定していない。ネット右翼が自らをネット左翼と呼ぶから、ネット左翼と便宜的にしているのであって、基本的に自らを右翼または保守と自己規定している。実際に保守的既得権益があるようには思えない。

 

Dネット左翼の行動

ネット右翼と違い、ネット左翼は行動化が遅い。おそらく政権サイドまたはネット右翼を利用する側は即座にネット右翼を利用できるが、ネット左翼を利用したい側はなく、基本的にはネット左翼ではない有志の市民活動が先に動いて、それを後追いしている。社民や共産が動いた後に立民や国民民主が動くのに似ている。

そのため、ネット左翼にとって、自らより左翼的或いはリベラルな意見が多数派である主張にコミットして、安倍政権や右翼を攻撃することになる。これらの傾向は彼らの政党支持と政治家の支持のアンバランスを産んでいる。即ち政党としては国民民主や立民の右翼の方にシンパシーを感じ、政治家としては枝野や小沢を支持しているにも関わらず、政治主張は左派的になる。

彼らはネット民であるから、市民と共にネット上で右翼政治家やネット右翼を攻撃する場合に、市民と揉めることがよくある。即ち、ネット左翼は第一にネット右翼が我慢ならないが、第二に左翼や人権派に我慢がならない。しかし彼らがネット右翼や右翼を攻撃する正当性ないし理論はそのような左翼や人権派に依存しており、しかも後追いであるため、そのようなトラブルが起きた場合、ネット左翼は論理が吹っ飛ぶことが非常に多い。

ネットで左翼運動を行なっていた人なら経験があると思うが、さっきまで一緒にネット右翼を攻撃していた人が突然攻撃していたネット右翼と全く同じような言説で自らを攻撃してくることがあるのは、これが理由である。

 

ABCDから評価すれば、ネット左翼ネット右翼の派生系で、多少マシなネット右翼程度の存在である。仲間が集まれば、グレムリンが集まったかのように凶暴化するのはネット右翼と同様であるため、注意は必要になる。

ネット左翼の問題の顕在化はネット右翼が悪目立ちしている現在、一つしかない。それは若者に対してである。

 

若者は生きている時間が少ない。これは勉強する時間が少ないということだ。また特異な人を除いて、全世界的かつ歴史的に若者は必要性がなければ自ら学ぼうとはせず、最もお手軽な手段を最低限かつ最効率で知識を得ようとする。特別学習意欲がある特異な人を除いて、教育的効果はそれほどではない。教科書は暗記して点になればいい程度だ。参考書は分厚いので、基本的に読まない。

現在はネットがあるので、若者がその時必要だと思った知識の習得方法はネットになる。ネットが情報源になると言っても、参考書さえ分厚いと思う若者がまともなネットの記事を読解して参考にするわけがない。ネットは匿名ネットが主ということになる。彼らの知識はほとんどはうる覚えの教科書と授業の知識と匿名ネットということだ。

(親に聞く?先生に質問する?学があるんですね)

匿名ネットでは、反教育が多数派で、それは勉強したくない若者の正当化になるから、若者にとって魅惑的である。ネット右翼ネット左翼も右翼であるから、基本的に右翼的価値観が正しいと誤解する。

事実、若者の政治的或いは文化的価値観はネット民のそれと全く同じである。多様性を認めつつも、国家主義的であり、自民党を革新、左翼を保守と見做している。

これらの現象を文化論で論じる人もいるが、高尚過ぎて意味がない。単に若者が匿名ネットやりすぎで、ネット民化してしまっただけだ。

若者の保守化の原因の一つは、ネットであり、ネットを右翼化しているのはネット右翼ネット左翼であるため、現在ではネット左翼の弊害はこれであると言える。

 

結び

ネット左翼は自他共に左翼ではない。右翼である。ネット右翼より多少マシであるだけで、実態はそこまで変わることがない。彼らが国民民主支持層だと分かれば、都知事選での立民支持層の小池への寝返りもコレが要因の一つに考えられると思われる。

よく言えば無党派だが、無党派がネット上とはいえ、政治的言論活動するだろうか?