merlinrivermouth’s diary

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対米貿易協定

本論に入る前に、日本とアメリカの関係における前提条件を説明する。これは憲法学をかじった人でないと理解していない条件が含まれ、また左翼の非常な低調から、殆どの人は知らず、また理解する契機もなく、故に状況を正しく把握することができずに、国益や市民利益や諸々が守ることができていないので、最低限説明する必要があるからである。

 

A 日本国憲法制定権力

憲法が正統性を持つためには、制定権力が正統性を持っていないくてはならない。日本国憲法大日本帝国憲法から「改正」されたのだが、改正された代物とは言い難く、また大日本帝国憲法の改正条項に国民投票の実施という条件はなかった。

日本国憲法制定権力は大日本帝国体制ではあり得ない、ということになる。ネトウヨに反対するネトサヨはGHQ日本国憲法を作ったことを否定するが、日本国憲法を作ったのは実際にGHQであり、日本国憲法制定権力はアメリカということになる。故に昔左翼側は八月革命説を採用していたのだ。アメリカが憲法制定権力となれば、日本の国体はアメリカになってしまうからである。

因みに上記の理由からアメリカは自民党改憲草案のような全面的な改憲は絶対に認めないと言える。アメリカが日本の国体という理想的な状況を変えるわけにはいかないからだ。

 

B 自民党社会党

かつて日本において、左翼や労働組合は強い力を持ち、自民党がそれに対抗するためにはアメリカの支援が必要だった。現状においても自民党議席数が極大化されているとはいえ、それは小選挙区制と投票率の異常な低さが原因であり、自民党の得票率は歴史上最低である。火がつけば何が起こるかわからない。

当然ながら自民党アメリカに国益を切り売りし、アメリカは自身が日本の憲法制定権力であるということを利用して、日本から利益を引き出している。

それでもかつては、自民党社会党などの存在や、諸々の国際機関を利用して、国益の切り売りの最小化を狙っていた。

 

C 国際秩序

国際秩序は事実上ダブルスタンダードで、アメリカ的国際秩序とヨーロッパ的価値観を共有している諸々の国際機関がある。但し諸々の国際機関はアメリカ的国際秩序に押されっぱなしではある。

アメリカ的国際秩序というのは、自己利益爆発ということで、強者によるマルチプルスタンダードであると考えていい。例えば、日本が韓国にやっているようなことを、アメリカは従属国に日常的に行う。

当然ながら、従属国は対抗手段としてヨーロッパ的国際秩序を利用して、国益の切り売りの最小化を図ることになる。

 

D 現状の日本の対米外交

もはや八月革命説を採用する政治勢力はレアなので、日本の憲法制定権力はアメリカである。日本に左翼はなきに等しい。安倍政権は国際機関を非常に軽視して、自身の政策の正当化をアメリカ的国際秩序に求めている。安倍政権は韓国に対し、一連のアメリカ的国際秩序の日本版を行なった。

即ち、自民党が政権にあるうちは、日本はアメリカに一切の反駁が出来ずに、ひたすらに国益を切り売りすることになる。但し、自民党が政権から転落すれば、アメリカは日本から利益を引き出しにくいので、自民党が政権から転落しない程度に日本から利益を買い叩きすることになると予測される。

 

E 具体的な国益の切り売り

農産品は米も含めて全面的に関税撤廃になるだろう。無論、アメリカは関税撤廃しないので、自由化ではない。

アメリカは日本の金融保険にも参入することになるだろう。すぐにでも自民党は法改正すると考えられる。アメリカは健康保険の撤廃も求めるだろうが、自民党が政権から転落してしまうだろうから、歯止めがかかると思われる。損保に関しては、アメリカの制度は契約関係が全面的に自由で、即ち法律を利用できない人や契約を理解できない人は悲惨な憂き目に遭う。日本の金融機関は強いので、アメリカのシェアは50パーセント程度だろう。

忘れてならないのが軍事的貢献である。アメリカは市民的統制が効いていない軍隊と共に軍事活動することは違憲である。現状または自民党改憲後でも、自衛隊は市民的統制が法律的にない。即ち自衛隊アメリカ軍と協力できないし、それは変わらないだろう。故にアメリカは戦争になる度に金を要求することになるだろうが、それは数百億円規模になるだろう。無論、おもいやり予算とは別途である。

これらは日本の予算を大きく圧迫し、日本の社会保障制度は崩壊することを意味する。