merlinrivermouth’s diary

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安倍信者は何故必死なのか?

ネトウヨにもいろんな種類がいるし、単にそこらへんの市井の人がマスコミ報道を鵜呑みにして、「韓国けしからん」とネット上に投稿してしまい、ネトウヨと扱われてしまうことさえある。

ここで私見を述べる対象は安倍信者と言われる類のネトウヨである。

 

安倍信者の最近の動きについて、私は疑問があった。何故、他の自民候補を支持しないのか?と。

確かに安倍政権が盤石だった2年前なら他の自民候補を支持する理由はないし、安倍政権が死に体になった近年では所謂ビジネスでネトウヨやってる連中は沈没船から早々に逃げようとしている節がある。

だが、ほとんどのネトウヨにその動きは見られず、経済政策の失敗、コロナによって統治能力がないことを露呈、加計森友桜見る会で倫理観が全くないことや権力を私物化していることが周知の事実で、9月には退陣することが確定している現在ですら、他の自民の有力な総裁候補を支持したり、支援したりしようとしない。

確かに、岸田氏や石破氏はネトウヨの支持など願い下げだろうが、河野太郎なんかは拒否しないだろうし、支持ないし支援することによって安倍体制のイデアを少しでも存続できるだろう。

多くの安倍信者ネトウヨが未だに安倍政権に固執しているのは非合理的なのだ。まるで敗戦が確定しているのに、継戦して無辜の市民を死に追いやっていた皇道派のようだ。

 

ここで少し話を変える。

ネトウヨイデアアイデンティティとはそもそもなんであろうか?

多くの人は彼らが旧来の右翼や左翼や市民運動と全く違うことは認識しているとは思う。

倉橋耕平氏著の歴史修正主義サブカルチャーでは、日本会議などがオタクブームに大々的に乗った結果として、むしろオタクブームがメインの全く新しい右翼が生成されていったのが分かる。

しかし多くの政治学者はこのように考えず、政治運動として起きた新しい右翼運動だと捉えている。アメリカの反知性主義文化や最近のヨーロッパの極右運動と同じということだ。

一方、多くの社会学者はネトウヨの精神性について触れている。つまり急速な新自由主義的施作によって経済的格差や社会状況の大きな変化が日本人の多くに自身の帰属するアイデンティティを持たせることができず、不安定な自身のアイデンティティを直接国家と結びつけたのが、ネトウヨだと。

色々疑問が浮かぶが、少なくともネトウヨとやりとりした人は、彼らのアニメのアイコンやら、一般的な教養の否定、体制への盲従と体制に迎合しない存在への過剰な攻撃を目の当たりにすることが非常に多いだろう。

私は社会学者や政治学者のネトウヨへの評価が全て正しいとは考えていないが、概ね方向性は間違っていないように思う。

しかしネトウヨとやりとりした経験がある人なら分かると思うが、ネトウヨとやりとりしても彼らのイデアがはっきり分からないのだ。旧来の特定の思想に依拠してないのだから当たり前かもしれないが、彼らとやりとりすれば、彼らがやっているのは安倍政権に対する100%近い迎合と安倍政権に対するいかなる批判に対する非難と社会的弱者や体制に迎合しない存在への攻撃、そして揚げ足とりや話の腰を折ることくらいしかないことが分かるだろう。

かくいう私はネトウヨに「日本はどうあるべきだとか、民主主義はどうあるべきだとか、市民や国民の幸せはどうあるべきだ、というのがネトウヨの主張から見えてこない」と言ったこともある。

しかし、そのような不毛な対話を繰り返すうちに気付いたのだ。そもそもネトウヨイデアというのは体制に対する100%近い迎合と体制に迎合しない存在の排斥なのではないか?と。

仮にネトウヨイデアが、体制に対する100%近い迎合と体制に迎合しない存在の排斥ならば、先に挙げた政治学者や社会学者の見解と矛盾しないし、彼ら自身の言説とも概ね整合する。

では彼らのアイデンティティとは何であろうか?

ネトウヨは平然と国益を損ねることを主張する場合がある。中国と仲良くするな、韓国と仲良くするな、トランプと仲良くしろ、これらは国益を損ねているのは明らかだから、彼らのアイデンティティは日本国ではない。

勘がいい人は気付いただろうが、そうネトウヨアイデンティティは安倍政権なのではないだろうか?勿論、ネトウヨの中には、ネトウヨビジネスとしてやってる人もいるだろうし、アイデンティティが日本国の人もいるだろう。だが安倍信者と言われるネトウヨがメインストリームであるのも間違いない。

 

何故、安倍信者は安倍政権に固執し、必死なのか?

ネトウヨイデアが「体制に迎合しない存在はすべからく許さない」だとする。
安倍信者アイデンティティが安倍政権を信奉することだとする。
現在、安倍体制を評価する人はほとんどいない。安倍政権は日本のみならず世界中の経済史の教科書に失敗例として取り扱われるだろう。9月までに、岸田になるのか石破になるのか河野になるのかわからないが、スピードの差こそあれ、暫時安倍色は消えていく。
体制に迎合しない存在は許さないという立場で安倍政権がアイデンティティの人たちが、体制が安倍体制を暫時やめていくとなった場合、彼らのイデアでは、彼らの存在は許されない。
即ち彼らのイデアでは、安倍体制を暫時やめていく体制にあって、体制に迎合しない存在は許さず、従って安倍体制に迎合しない存在は許さないとしていた彼らは彼ら自身のイデアによって存在を許さない、と。
彼らが自らの不安定なアイデンティティを安倍政権と重ねているとしたならば、安倍政権の政策を暫時やめていくのが日本の体制の共通見解になった場合、彼らはアイデンティティの依るすべがない。

 

終戦直後の皇道派に似ている。天皇が神で、神から直接選ばれた臣民というアイデンティティと、神から直接選ばれた臣民であるから列強の一つとしての正当性があるというイデアが敗戦と共に逆転した結果、彼ら自身のアイデンティティイデアによって彼らの存在は許されなくなり、彼らの多くは自裁した。

仮に仮説が正しいとしても、安倍体制がなくなっても、安倍信者自裁することはないだろう。

しかし安倍体制が存続しないというのは、彼らのイデアによって彼らの存在が許されなくなるという事態だとしたら、彼らが他の候補にベットするなどの現実的妥協をせずに、安倍政権に固執するのは、当然だと言える。