merlinrivermouth’s diary

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(社会・政治)何故リベラルは嫌われたか?

今回の選挙ほどリベラルや左派に対する支持が減ったことが明確な選挙はなかっただろう。

今回の選挙は、ただでさえアベノミクスで疲弊していたうえにコロナ禍で危機寸前になった景気を、どこにどれほど資源を配分して、回復させるか?にあった。

自民党は法人や資産家が優先され、次に事業主、最後にサラリーマンであり、非正規雇用者などの職が不安定な人は救わない。サラリーマンを助けると言っても、あくまでそれは国内経済のためであり、また自民党内においても見解が一致していない。自民党がサラリーマンを助ける場合、財源は累進課税相続税になるため、新興富裕層にとってはかなり打撃になる。自民党にとって、新興富裕層は核心的利益ではない。

立民はサラリーマンを中心に助けるべきだという立ち位置である。野党共闘中は左派と協調する必要があることから、非正規雇用者などのロワーミドルも保護の対象である。当然ながら、財源は法人や資産家や新興富裕層への課税になる。

社民党共産党はそもそも労働者トータルの保護を求めているため、野党共闘のための立民と同様である。

国民民主は体制御用組合と協調しているため、自民党と大差がない。言葉が悪いが、法人や資産家が儲けた金のおこぼれに預かるのが労働者だと認識していると言って過言ではない。

維新はサラリーマン以下の階層から新興富裕層に富を移すことを目的としている。便宜的に新自由主義とされるが、手段や目的が全く新自由主義ではない。基本的に全体主義政党であるが、再分配に興味がない。維新の今までや公約の政策の共通点は「サラリーマン以下の階層から新興富裕層に富を移すこと」である。

つまり、表現上の自己利益を鑑みれば、左派側は大きく議席を伸ばす筈だった。しかしそうはならず、むしろ、多少議席を減らしてしまう。これは、有権者にリベラルに嫌悪感があると思ってしまっても仕方ない。

 

投票率は55%であり、サラリーマン人口より少ない。即ち、ロワーミドル以下はほぼ選挙に参加せず、サラリーマン階層も少なくない割合で投票に向かっていない。

資産家や大企業の経営陣なら自民党が最も利益になる。

新興富裕層はほとんど維新一択だろう。

事業主は業種によって変わる。製造業なら自民党しか選択肢がない。勿論それで保護されるとは限らない。サービス業なら野党共闘一択である。国内経済の活性化には、稼ぎがいい人が多いほど良い。

サラリーマンは選択肢があり、実際に分岐している。

①自力でも転職可能な有資格給与所得者

当然ながら都市部に最も多く、それも特定の選挙区に集中している。労働組合から自由か労働組合が会社と拮抗関係にある。世田谷中野杉並武蔵野などの中央線沿線や神奈川だと大和市などの新しいベッドタウンが特徴的で、全国的に左派の低調が明白ながら、左派が圧倒していた。

御用組合労働組合に所属している。

彼らが生活できるのは、お上の恩恵があるからなので、親会社の意向にはあまり逆らわない。親会社の事業に応じて、自民、立民、国民民主の投票先が決まる。

労働組合非加入

おそらく、選挙に参加していないか、ミーハー的投票コードになる。

④勘違い馬鹿

自らの能力を高く評価し、新興富裕層になれると認識している。となると、投票コードは維新だろう。私の経験では、横柄な人間ほど自分や周りが見えていないため、あまり仕事ができないか、足元を掬われて終わる。新興富裕層も高い割合で、十年以上階層を保っていられることができない。後でクラクション鳴らす割合が高いほど、事故率が高く、そのような車は大抵、高級車である。

 

以上から、この度の選挙は投票者の目前の現実において、妥当な投票コードだったと考えられる。

これはリベラルが嫌われたというような、はっきりした嫌悪感によって結果が出たということではない。不安定な経済や社会が長期化したため、勤務先に対する経済的、社会的依存が強まり、労働者の主体性が失われ、より従属的になったということだ。

事実としては、多様性に関しては、強い反対はなく、むしろ賛成が圧倒している。仮にリベラルが嫌われているのなら、ポリティカル・コレクトネスなどのようなものははっきり拒絶される筈だが、むしろ受容され、体制側の努力が足りないとされる。

これは、労働者の意志や意識と無関係に、正規労働者としての地位を守りたいならば、雇用主である会社を守らねばならないため、保守政党に投票せざるを得ないという現実があり、会社の利益とあまり関係がない或いは雇用の継続が難しい部分においては左派的イデアを全面に出せるのでは?と説明できる。仮にこの説明ならば、安倍政権においてすら、右翼的政策に対する抵抗が極めて強かったことも証明できる。

 

リベラルが支持されなくなった理由は国内経済の疲弊が一定以上進み、中世的になったからだと言える。社会としては、おそらくリベラル的政策の方が合理的だ。ほとんどのサラリーマンや若者は個人としての意識は多様性について高い肯定度であり、安定的な生活を望んでおり、国内経済も回復する。

しかし、現実には、失業すれば、不安定な生活に陥る可能性があり、現在の給与でもキツキツである。となれば、目前の利益を守らざるを得ず、自らの意志とは無関係に雇用者である会社の事業に応じて投票することが、個人としては合理的で現実的な選択になる。

これは、リベラルが嫌われたのではない。好きだったがフラれたのである。いや、とうにフラれていたのである。

 

補足)社民党議席数と野党共闘

今回、社民党議席数は1だったが、以前は4だった。その4とは、野党共闘できていない時の獲得議席である。

自民党は票の数自体にそれほど大きな変動はない。野党共闘側も同様だと推定できる。今回は国民民主に多少、票が流れたが、おそらく、正規労働者としての生活のために立民から票が流れたと予想する。

投票率が上がった分や、自民党に票を投じれなくなった自民党支持者は維新に票を入れたと考えれば、野党共闘側はやはり票の数自体を減らしていない。特に、野党共闘側に票を投じ、小池百合子などを支持し得ない、リベラルつまりアッパーミドルは一貫している。

野党共闘ができ、立民が左派的である場合、アッパーミドルは比例に立民を選んでいただろう。何故なら、極小の社民が残るより、立民が大きくなった方が政治的影響力が強くなるからだ。だが、野党共闘できていない時や、立民のリベラル側が弱い場合、アッパーミドルは社民に投票していたので、社民は議席を伸ばすことができていたと思われる。

これは、立民が明確に野党共闘を諦め、リベラル色が弱くなった場合、立民は都市部の票と議席を守れないことを意味する。つまり、立民がそのような選択をする場合、立民は地方都市で自民党小選挙区を争わねばならず、しかもその場合、共産党に一定の票を食われてしまう。

アッパーミドルが社民に支持を集めてしまうと、立民は影響力をある程度社民に奪われる。立民に票を投じてもいい業界や団体、組合は社民でも大差がなく、立民は単に足し算や引き算以上に票を減らしてしまうだろう。

つまり、立民が野党共闘を諦めた場合、立民は大きく議席を減らしてしまうということだ。