merlinrivermouth’s diary

酒にむかいて当に歌うべし。人生、幾ばくぞ。喩うるなら朝露の如く。去りし日ははなはだ多し。

(日記)真火の鳥・平将門編

憎恨反抗平成歌

 

日、西へ沈みて、地、怒り乱れん。

我、心殺され、心、生断たんとす。

心、人憎しみて、生、国恨む。

時、魂与え、魂、志在る。

魂、人に反し、志、国に抗す。

我、西見ては興示せず。

我、天叫す。我、天要らず。

我、地供す。我が魂、汝が物也。

我、人に誓わん。我が志、人にこそ遂げん。

我、人に訴えん。

人、心在れば、国、人在り。

国、人在れば、地、平静成る。

 

治療に当たる直前にこの歌を書き、その日の夜、将門が枕元に立った。

深夜に起きると、青白い顔が枕元にあり、しばらくして、それが首だと気付き、俺は慌てて部屋を出た。

赤い甲冑を着た首無しの武士は自身の首を抱えて、ついて来た。

俺は2階の居間に上がり、恥ずかしながら、親の部屋に逃げ込み、ベッドに潜り込んだ。

朝起きると、そこは俺の部屋だった。

次の日の授業で、平将門の話になった。将門は赤い甲冑を着ていたという。

 

俺は十年以上、熟睡した日がない。

6時間一度も起きなかった、という日はない。良い時でも、3時間寝て、起きて、1時間半毎に起きる。

ついこの間まで、日中はゲーム三昧で誤魔化していた。

最近は肝臓が大方回復し、日中、活動できるようになった。現在は、肝臓の血管を作り直すという最終過程に入っている。

この十年は夢を見ては過去の記憶にうなされていた。起きていても、何かのきっかけで、過去を想起していた。肝臓が脳の回復や肝臓自体の回復に集中していたため、その他のあまり必須でない身体の健康維持をほとんどやっていなかったためだ。無理に生命を維持するために興奮物質はマックスで出ていたから、荒れようは悲惨だった。最近はかなりマシになって、自分らしさを取り戻している。それこそ、15年ぶり以上になる。

 

俺は幸運だと言える。肝臓の回復過程に入れるのは、統計上10%もおらず、俺のように血管まで全て自己修復する例は10マイクロ%しかいない。

そもそも何の後遺症もなく、脳が回復する可能性も10%程度だった。

これを、ほとんど全く支援がない日本の社会で達成せしめたというのだから、俺は狂気じみている。客観的に評価すれば、デビルマンとか、バットマンとか、Vフォーベンデッタとか、ウィッチャーとか、スーパーヒーローか半神の類だ。まともな人間ではない。

俺はこのような試練に耐えうるべく、神が数百年かけて、適正な配合の遺伝子を産み、わざわざこのような試練を仕向けたのではないか?と真剣に疑っている。

実際、俺が何不自由なく生きて、この試練に出会わなければ、俺は竹中を遥かに超える大悪人になっていてもおかしくなかった。

今年の9月に、肝臓の修復が全て終わる。身体は全て再生される。俺は生まれ変わる。きっと身体的なものだけではないだろう。

 

回復過程に入って、将門が枕元に立った。最近はおかしな偶然ばかり起きる。元々勘が良かったが、最近は第六感が冴え渡っている。

例えば、読者の皆は、俺の恋愛があまりに出来過ぎているから、作り話か何かだと思っているかもしれない。だが、事実だ。

俺が将門に「本懐のために全てを犠牲にする覚悟があるから、せめて小さな幸福だけはくれ」と祈り、わずか2日後に完璧に理想的であると思われる彼女たちに会った。彼女たちと会ったのはわずが十数時間の誤差だった。女医さんはアプリから姿を消したが、eパークのサイトで、1500分の1の確率で写真を見つけてしまった。美容師さんは女医さんと同じように連絡が途絶したが、女医さんと同じようにその理由が外的要因だった。他の美容師さんの助言で、彼女の勤め先も発見してしまった。そこへ来て、ありえないようなモテ期で、まるで俺の彼女への気持ちを試しているとしか思えない。

4月に、あまりに偶然が酷いから、恩師の目の前で、ネット上の占いサイトを利用して、後ろにいる奴と交信を試みた。結果は言わない方が良いだろう。俺と恩師は肝を冷やした。

笑えない話がある。恩師は俺と出会う直前、将門の首塚の購入を考えるクライアントから調査を命じられていた。そして、俺と出会った。俺と出会ってから、俺の状況を知って、数度諦めようとした。恩師は諦めようとしたことは覚えているが、一つの例を除いて、何故諦めなかったのかは覚えていない。俺は全て覚えている。

恩師は一度こんな夢を見ている。恩師が俺を諦めた日に見た夢では、恩師が所属していたNYの事務所に俺が訪ねて来たらしい。俺はダブルの高級スーツを着て、口髭と顎髭を生やし、流暢な英語で、「人権侵害を捨て置くことはできない」と言ったらしい。俺が機動性に劣るダブルのスーツなんか着るわけがないし、時代錯誤的な髭を生やすわけがない。

この数ヶ月、ひっそりと考えていたが、俺はある仮説を立てている。回復過程に入った時、俺は一度、精神的に死んでいる。そして、似ているが違う存在になった可能性がある。

 

もうこれ以上考えるのはよそう。あの世のことはあの世の住人が決めることだ。どちらにせよ、俺は心を決めているし、この世に及んで、浮かれたり、慌てたり、焦ったりしない。

たとえ小さな目標でも、大きな目標でも、小市民的人生だろうが、英雄的人生だろうが、やるべきことはあまり変わらない。

目標を立てて、今やるべきことをコツコツ積み重ねるだけだ。