merlinrivermouth’s diary

酒にむかいて当に歌うべし。人生、幾ばくぞ。喩うるなら朝露の如く。去りし日ははなはだ多し。

実家の歯科診療所経営

診療所経営の話である。

最近、歯科診療所はチェーン展開が流行りである。私はそういう話をよく聞いていたが、十五年前に母が私にチェーン展開の話をした時、私は大反対した。

歯科診療所は金がとにかくかかる。設備のリース費用だけでも馬鹿にならず、最新式に更新する予定があるなら、金がいくつあっても足らない。自前の技工所がなくては、即座に責任ある仮歯は用意できない。衛生士を雇うのと歯科助手で済ませるのとでは雲泥の差だ。ドクターは専門領域のプロがよく、博士クラスの知識があった方がいい。

父は極めて保守的な人間で、中間団体性を強く求める人物だった。即ち、衛生士や受付を含めて、労働基準法にがっちり守られているべきで、ドクターは完全歩合であり、患者に対しては最適な治療を行う義務がある、と。父は労務管理の内規を作るにあたり、弁護士に言った。「労働者に場を提供するのは、管理者としての責任だ」。

私は経済的合理性のもとにこう考える。最適な治療を行うには、管理コストを削るしかない。つまり、チェーン展開はもってのほかで、役員報酬も最低限度に留めるべきで、余計な金は人件費と設備投資に回すべきだ、と。最適な治療を行うことによって、うちに通った自費診療が目当ての富裕層やアッパーミドルは固定される率が高く、保険診療が目当ての中間層以下の患者も他と値段が変わらないのだから、やはり固定され、新規患者になりやすい。しかも、経営危機になるリスクが基本的に最も少ないので、長期的には、半永久的に儲けが出る。他の診療所の質が落ちれば、独り勝ちできる。我々が目指すのは、トヨタとか日産ではなく、メルセデスベンツである、と。

実際にうちの規模なら、役員報酬は一億貰っていてもおかしくないが、うちは合計でたった三千万である。

 

昨今の流行はチェーン展開であるが、ドクターのほとんど全ては院卒ではないし、衛生士もあまり雇っていない。専用の技工所を持つ診療所は数件で、ほとんど外注である。設備投資がどうなっているのかは知らない。

ドクターと完全歩合の契約をして、労働基準法をがっちり守る内規を定めるという、現在の資本主義に真っ向から逆行するのはうちくらいだろう。

彼らは役員報酬を我々の数倍は得ているだろうし、チェーン展開によって雑多な管理コストがかかることになる。

東京は歯科医の競争が激しいため、近くにある程度資本がある診療所ができれば、ドクターや衛生士はともかく、設備と真新しさで負けることになる。それを防ぐために宣伝にも資本を投下しなくてはならないが、TVCMするほどではないため、効果が限定的になる。

あまりに杜撰な経営や人事への投資を怠ると、治療に何か問題が起きたり、管理ミスが起きる。そうなると厚生省や財務省の介入があった場合、大変なことになるリスクを抱える。我々みたいに真っ当にやり過ぎると、どこかの嫌がらせで、厚生省なり財務省が介入しても痒いだけだが、彼らはそうはいかないだろう。

つまり、儲けられる期間は限定的で、専門家責任の問題になるリスクがあり、患者にとっては最適な治療を受けられるかどうか不安含みである、というのが大方のチェーン展開である。

しかし、彼らはそれで失敗か?と言えば、そうでもない。銀行が担保にしているのは医療法人と診療所である。つまり、役員はその間に荒稼ぎして、引退してしまえば、十分に儲かるのである。彼らがこのビジネスモデルを直ちに止めるかどうかは疑問だ。

こういうビジネスモデルは銀行が永続的に儲かるだけだ。銀行から投資を受けたチェーン展開の医療法人を負かすのは、大抵、新たに銀行から投資を受けたチェーン展開の医療法人なんだから。

 

このような医療法人のビジネスモデルは増えてきているが、我々にとってはいい傾向であったりする。腕に自信があるドクターが応募してくれる確率が高くなり、衛生士学校は生徒に就職の候補として、うちをおすすめしてくれる。因みに我々は何もしていない。自分たちの噂を聞いてびっくりしている。

患者特に富裕層やアッパーミドルはますます我々の診療所に通うことになる。友人の評価ほど当てになるものはない。サイトを眺めれば、量販車を製造しているのではなく、メルセデスベンツをやっているということは一目瞭然だ。

 

私は歯科医師ではないが、たまに思う。医療法人の経営者に限らず、昨今の富裕層は責任とか義務とかノブレス・オブ・リージュとか名誉とか尊厳とか、自己利益の前にどっか逝っちまったんだろう、と。

 

川口歯科診療所

https://www.kawaguchi-d.or.jp

 

追記)川口歯科診療所には、どこかが政治力を使い三ヶ月に一度、財務省と厚生省が介入している。しかも何も出てこないばかりか、ますます健全経営になるというオチである。

勿論、財務省と厚生省のあまりに頻度が高すぎる介入は違法行為スレスレである。あまりにうるさすぎたので、まず財務省を黙らせた。恩師は弁護士であり、恩師の父親は財務省OBで、恩師自体も自民党の政治家とコネがある。財務省の行いはそもそも違法行為スレスレであったため、新宿税務署の官僚は出世コースから外れてしまった。本来なら、検査は数年に一度しかあり得ず、十数度はあったため、財務省の介入は三十年間あってはならない、ということになる。とはいえ、我々は税金逃れとか闇金作りはしない。おそらく、政治力を使ったどこかは税金逃れと闇金作りをしているんだろう。

恩師は宏池会民主党リベラルと強いコネがある。次の内閣では宏池会民主党リベラルが厚生労働大臣になる確率が極めて高いことから、私はそれらを利用し、政治力を使ったどこかにしたたかに逆撃を加えることを提案した。

おそらくこの逆撃は最低でも今までのような経営ができなくなり、最悪一刀のもと、首跳ねられ、市中に晒されてしまうだろう。