merlinrivermouth’s diary

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日本の中進国への道・ジョブ型雇用

今日、恩師からジョブ型雇用とその未来的な予測とビジョンをまとめるよう依頼された。なんでも、ついでに英訳してアメリカ大使館に提出するらしい。

 

日本政府及び自民党が推し進めるジョブ型雇用は財界からの意向により、来年度または再来年度に導入されると予測される。対象は大企業の正規労働者で、業績の良い企業ならば40代以下、業績が悪い或いは先行き不透明な企業は全年齢が対象である。

ジョブ型雇用に移行する労働者は学歴に関係なく、実績や替えの効きにくい能力を示せない人で、80〜90%の大企業の正規労働者がこれに当たると考えられる。350万程度の給与に留め置かれる代わりに労働時間が減る。従って、これまで受けていたローンが使えなくなるため、地価の安いマンションに引っ越したり、頻繁に海外旅行をすることを見直したり、お洒落をある一定で諦めたり、子供の教育費を考え直したり等、生活水準の維持を諦める必要があるだろう。

ジョブ型雇用はミッドミドルを直撃し、0.2%程度の富裕層、1%程度のアッパーミドルとその他ロワーミドル以下を隔絶することになるだろう。まさに究極の格差拡大政策と評することができる。

国内経済や国内需要は決定的なダメージを受け、回復不能になり、日本は債権があるだけで、中進国と似たような経済モデルを持つことになる。

 

Aジョブ型雇用が施行されてからの直近の数年間はあらゆる風紀が非常に荒れると予測される。

①ジョブ型雇用移行される労働者で、一定年齢層以上であり、既婚者で、パートナーが専業主婦であり、子持ちの場合、破滅的な経済的ダメージを被るだろう。これは子持ちでなくとも、生活に巨大なダメージを受けることは間違いがない。子供の大学進学を諦めたり、これまで住んでいた場所を追い出されたり、再起を賭けて失敗して自己破産などが最も考えられるケースである。

②起業、投資、国家資格取得に再起を賭ける人も一定数以上考えられる。しかしながら、この政策が行われた時点で国内需要は冷え切ってしまうため、起業や投資に再起可能性がない。国家資格の多くはロースクールや専門学校に通うことを前提にしており、資格取得をできる人は限られてしまうだろう。当然ながら、起業や投資に向かう人は自己破産ルートに入り、資格取得を目指す人の多くは人生を棒に振る可能性が出てくる。

実はこれらは就職氷河期や狭間の世代で既に経験済みであり、挫折が早いか遅いかの違いしかない。大企業に正規就職できたというのは必ずしも能力によるものではないから、自身の能力を過大評価すれば、似たような経験をしてしまうということである。そして、えてして挫折は年齢が上がってからの方がダメージが大きい。

性風俗である。大企業のOLや大学生の女子の中には自身の生活スタイルを諦めることができない女性が多いだろう。従って、彼女たちは手頃な稼ぎを求めるか富裕層の男性にかしずくことを求める。既にその傾向はあり、パパ活用のデートクラブやアプリは公安委員会の指定を受けている。彼女たちの「相場」は需給バランスが崩れることにより非常に安くなるが、同時に彼女たちは不安定なアッパーミドルではなく、より明白に資産家を狙うことになるだろう。

日本の富裕層の男性は倫理観がないのが大半であるから、風紀の乱れは行くところまで行くだろうし、一定数の女性は自身の美貌を商品化することに躊躇いがなくなるだろう。というより、その数年間は女性は商品化されやすい時代になる。

しかしながら、富裕層の男性は数が少なく、席はほとんど空いておらず、女性への扱いが悪いことには定評があるため、数年もすれば、彼女たちも割に合わないことに気がつくはずだ。

④ジョブ型雇用に移行される大企業の正規労働者は自己利益をわかっていない者が大半である。基本的に保守政党や保守候補を支持し、つい最近の春闘でさえボーナスが出るからとその先に待つジョブ型雇用に目を瞑った。

そのような彼らが、生活が逼迫した際にとる政治行動は、極右政党の支持だろう。また政府の分断政策である差別主義に容易に乗るだろう。実際、システムエンジニア系の仕事を奪うのはインド系と目されている。

彼らは社会的影響力があるため、差別主義や極右化は社会問題の一つになるはずだ。

⑤おそらく彼らの中で最も影響が少ないのはゆとり世代からZ世代にかけてと思われる。

まず、若いので、給与の差が大きく現れない。次に共働きや男性の家事手伝いへのアレルギーが少ない。また、野心も少ない。

彼らは350万程度の給与と増える自由な時間にある程度納得するだろう。これでも他の階層の労働者より恵まれており、共働き前提ならば、子供の教育に夢を持たなければ、結婚可能である。

⑥直近数年のまとめ。私は狭間の世代より一つ上で、同年代の失敗を見てきた。階級上昇できる人にはいくつか条件がある。第一に運が良く、第二に非常に努力家で、第三に能力があり、第四に景気が良くなるタイミングと重なること、だ。第二第三の条件があるなら、そもそもほとんどの場合、ジョブ型雇用に移行しないだろうし、第四の条件は皆一様に考えられない。即ち、残念ながら、再起を諦め、現状でどうにか生活を行い、左翼政党に投票して、世の中がより良くなるのを期待するのがベターな選択になるだろう。

 

B 中期的な安定層

とはいえ、政治に期待できない流れはあまり変わらないだろう。左翼政党は伸びるし、自民党議席を大きく減らすだろうが、それでも自民党は議会多数派だろう。

中期的な流れで大事なのはその後の長期的な時代、即ち中進国化する次のパラダイムの時代の基盤を作る準備に入る可能性があるということだ。

ロワーミドルとアッパーミドル以上では隔絶し、おそらく体制側の分断化政策は功を奏しない。外国人労働者は圧倒的でなく、差別主義は二番煎じであり、若い世代ほどフェミニズム的なものに親和性があり、SNSの普及は世論誘導を困難にしている。圧倒的多数のロワーミドルはいわゆる「上級国民」への反感だけは共有するだろうし、階級意識とまでは行かず、また彼らの声を拾う労働組合や政治運動はなくとも、次のパラダイムにそれらを用意する準備にはなり得る。

また数少ないアッパーミドルと富裕層だけでは官僚層の再生産は不可能だから、教育無償化が行われるだろう。ロワーミドルの子弟は資産がないため、開業を求められたり、資産家やアッパーミドルの文化が前提になる職種は難しい。ということで、彼らの子弟で最も出来がいい者は官僚を目指すのが自然だ。

これは現状の政治主導ではあまり効いてこないが、次のパラダイムで政治主導に綻びが生じれば、新たな体制の基盤になり得る人材の供給源になる可能性があり、非常にうまくいけば、新中間層の走りになることないとは言えない。

 

C 長期的なパラダイム

日本は地震国家であり、30年以内に確実に南海トラフ地震が起きる。高知と鹿児島の原発を再稼働しようがしまいが日本は壊滅的で不可逆的なダメージを被るだろう。復興は不可能になり、最悪、魚介類は太平洋側近海では漁獲できない。

こうなった場合、自民党は少数政党になり、旧民主党系が保守政党としてヘゲモニーを握り、三割から四割を左派政党占める形になると予測する。

これは事実上の体制転換だが、憲法上、資産課税を行えず資産家階層が温存されるために、経済的には、社会変動は起きない。

とはいえ、中進国には中進国なりの身の丈にあった幸福の形はあり、不幸になった原因は明治体制からその時まで、はっきりと明白になっているため、体制が転換する時点で権力による恣意的は横暴を許さないような制度枠組みを作れれば、その前の時代とは違う、人間性を失わない形での、それらしい安定層を目指せるように思う。