merlinrivermouth’s diary

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日本のある一時代の終焉

日本の社会状況あるいは政治状況あるいは経済や財政がまずいと思っている人はいるだろう。福島原発の核燃料棒の問題もあれば、いずれ巨大地震がくる。地球温暖化はスピードを緩めるだろうが、いずれ海水面の上昇が限界を超える時が来る。

 

日本の逆再配分政策は社会状況、経済状況を一変させつつあり、ジョブ型雇用はそれを決定的にする。大衆が極右を支持するのか左派を支持するのか無関心になるのかわからない。国内市場はシュリンクし、疲弊するだろう。

司法機関は体制迎合を隠さなくなった。もはやデモも難しくなったし、反体制的な訴訟はたとえ法理論的に明白に誤りであったとしても政府を勝たせるようになった。司法を信用できない、法治国家として機能しない状況は、日本の逆再配分政策と相まって、人心がますます不安定化するだろう。

しかし日本の体制はそれらを改善するだけの能力も動機もない。日本のエリートは中高一貫進学校によって、大衆と完全に分離され、ある種の選民思想を持ち、資産家階層とそれを共有している。そこにおいては、自己犠牲的発想はなく、自己中心的で利己的で欲望に歯止めがかからない文化が優越するため、逆再配分政策が変わることはなく、利権誘導型の政治を改めることができず、グランドデザインを描ける人材を生み出すことや中枢につけることは不可能だ。

安倍政権になってから、日本の政治はある種のクライエンタリズムになった。大企業や業界団体が政治家や官僚に介入し、政治家はそれをそのまま政策に反映させるため、まるで矛盾していたり、バッティングしている政策を同時に行っている。官僚が能力より政治家や業界との関係構築を重要視するのは当然の帰結だった。共通している政策は逆再配分政策つまり如何に民衆から搾取して、内部留保に充てるか?だけである。

逆再配分政策を長年やり続けてしまったため、日本の産業はニートのように、すっかり競争力を失ってしまった。政府の脛をかじってなんとか経常利益だけは良く見せているだけである。もはや政府の庇護を失えば、不可逆的にどうにもならなくなるため、法人課税など考えられなくなってしまった。

政府は日本経済が危機的状況にならないために、財界に予算を投入する必要がある。例えば国家予算を圧迫している防衛費もそうだ。それが結果的に社会保障関連の予算を圧迫する。国民年金、健康保険その他諸々を順次やめていくのだろう。

しかし、いくら予算を削っても、長年積み上げてきた巨大過ぎる借款はリスク含みで、財界というニートを囲わなければならない以上、解決される目処はない。巨大な災害が一度か二度訪れれば、たちまち国家予算は破裂する。

福島の核燃料棒の問題は現在の技術では解決不能で、せいぜい水を入れて温度を保つくらいしかできない。容器が壊れたり、核燃料棒が倒れてしまえば、たちまち核分裂を起こして、核爆発する。そして、危惧はあたり、容器に亀裂が入ってしまった。注水する水をどこから工面するというのか?

南海トラフ地震南海トラフ地震についても考えておかねばならない。東南海トラフ地震は都市部を直撃し、南海トラフ地震原発がある地域を直撃する。日本政府は利権構造を変えることができないため、高知県や鹿児島県の原発を再稼働してしまうだろう。どちらが来ても、どちらとも来ても、破壊的で、それまでに日本の政府や社会がある程度力を保っていなければ、日本自体を破滅させる。しかし、上記に記述していたように、日本政府や日本社会が力を保っている可能性は全く考えられないだろう。

その段階で、大企業や資産家は日本から離れてしまい、日本から富がなくなってしまうだろう。資産家の日本離れは既に始まっている。

 

日本の富裕層の繁栄の謳歌はたかたが一世代しか続かない。それは戦後から100年間続いた時代の終わりでしかない。我々はこの危機を回避する機会はたくさんあった。国鉄ストライキを大衆が支持したり、中曽根政権を誕生させなかったり、日本労働者総連合の誕生を阻んだり、自社政権の小選挙区制導入を阻んだり、社会党或いは社民党勢力に一定の支持があったり、小泉政権への竹中参入を阻んだり、民主党政権が続いたり、安倍政権を支持しなかったりしていれば、歴史は変わっていただろう。

だが、これで良いのかもしれない。それらは日本社会が、日本の体制が根源的に持っていた宿痾が招いたものだ。100年もある体制が続き、少なくとも戦前の時代よりはマシだった。それにその後に続く時代が完全にダメで不幸せな時代とも言えない。

財政や原発などは各種国際機関の指導を受けるようになるだろうし、円はなくなるだろう。だが、逆説的に発展途上国並みの生活水準に戻るわけではない。日本の宿痾を招いたイカれた連中のそこそこの割合は日本から出て行ってくれる。ほとんどの人は継続的に搾取されていただろうし、日本の根源的な問題についてある程度共有されているだろう。その時初めて、政治主体になる契機があり、その契機は使われる筈だ。

総合的には今より国富は全然ないだろうし、国家の威信なんてないも同然だろうが、そんなものは大多数の人の幸福と比べれば、あまり価値がない。相対的には、大多数の人は今より経済的にも社会的にもゆとりをもてるだろう。困るのは富裕層とアッパーミドルだけだ。

そういう時代になるよう、私も手助けできれば、本望である。もしその時、私がアメリカで成功していても、私は戻ってくるだろう。他の富裕層やエリートとは逆方向に。

そして将門の御前で誓いを果たそうと思う。