merlinrivermouth’s diary

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ネット民への啓蒙④ネット規制

高市総務相が前の国会で提出したネット規制法案が具体化した場合についてである。ネット民は概ね、匿名サイトに自身の社会性を依存してしまっているところがあるため、社会的つまり法的に何が許されず、何が許されるのかよくわかっていない。

 

Aネット規制法案の成立可能性

今国会で成立する見込みはなく、また菅政権で成立する可能性は低い。国会は菅政権自体の問題性を指摘するので忙しいためである。逆説的に、次期政権になれば、法案は提出される。

賛成は自民党公明党

態度保留は立憲民主党社民党共産党、国民民主党

反対は維新の会、である。

野党の態度保留の状況説明は、日弁連が反対→故に社民が態度保留→社民が態度保留なので、立民が態度保留→立民が態度保留なので、共産党が態度保留である。国民民主はそもそも維新と共闘するか悩んでいるところで、議席からも数に入れる必要がない。

ポイント①いざ法案提出となった場合、日弁連が反対しても、社民賛成からの維新以外全会一致というパターンが考えられる。

ポイント②日弁連が反対しているのは、ネット規制法自体に反対しているからではない。第二次安倍政権下で、良かれと思った法案に賛成したが、全体的俯瞰点に判断すると、新自由主義政策の一環だったからだ。ネット規制法自体の意義は認めつつも、新自由主義政策の中でどのような役目があるのか定かではない以上、とりあえず反対ということである。つまり、日弁連も賛成に回る可能性がある。

結。つまり、最長でも再来年度の春には成立するだろう。

 

Bネット規制法案の概要

今のネット規制法案の内容が再来年度の国会まで維持されることはないと考えられるが、概要は変わることはない。

基本的には、被害者が訴えやすくするということである。ネット規制法以前に不法行為でなかったものが、ネット規制法後に不法行為になるのではない。既に不法行為であるものを訴求しやすくするものである。

被害者が泣き寝入りしている理由はプロバイダーが加害者の個人情報を渡さないため、裁判所に民事訴訟を起こしにくいからである。つまり、現状はプロバイダーにIPアドレス開示請求を求める裁判も必要になる。最近はプロバイダーは敗北続きであるが、最高裁まで争うので、被害者のコストに見合わない場合が極めて多い。

ネット規制法はプロバイダーにIPアドレスの保存と開示を命令するものである。個人が保存と開示をやるととんでもないことになるので、弁護士または法務省の認可を受けた司法書士が代理で手続きを行うことになる。具体的には、弁護士会照会制度にかけたり、法務省に照会することである。現在でも、弁護士を代理にして、弁護士会照会制度使い、プロバイダーにIPアドレスと個人情報の保存を命令することができる。

ネット規制法施行後は、プロバイダーが保存と開示を行わなかった場合、100万円の罰金であるから、確実に保存及び開示を行うだろう。尚、総務省は現段階でも、保存命令は有効であるとしている。

 

Cネット上の名誉毀損の成立条件と類型

既に不法行為であるものを訴求しやすくするものであるから、ネット規制法施行後も変わることはないだろう。ネット上の名誉毀損を説明する。

①経済的、社会的信用を貶める行為

遺失利益プラス慰謝料である。遺失利益が相当額必要で、原告は遺失利益を証明しなければならない。対象として考えられるのは、企業や大企業のCEO、社会的責任があるとされる地位のある人、著名人などである。

しかしながら、大企業やそのCEO、社会的責任があるとされる地位の人、著名人は批判に晒される責任があるため、単に批判されたからと言って訴訟を提起することはできない。批判に信憑性がなかったり、真実性がなかったり、根拠なく虚偽を流して批判したりすること、人格を否定するような発言が条件になる。

当然ながら、そのような条件に合致するだけでなく、執拗性なども加味されれば、民事上の損害賠償だけでなく、刑事罰になる可能性もある。

 

②人格権侵害

人格否定のみならず、他者に回答を強要したり、嫌がらせ目的で付き纏い行為をしたりすれば、民事上の不法行為が成立する。また最低でも迷惑防止条例違反になる。

ネット民がよくやる行いとして、他者に回答を要求し、それに答えないと誹謗中傷する、というのがある。それは人格権侵害である。

 

③誹謗中傷

誹謗中傷を行うことである。単体ならば、現在は数万円の損害賠償。

 

④違法性阻却事由

ネット民は喧嘩両成敗だと本気で信じているので、全くわかっていないだろうから、説明する。

a相手が匿名である場合。匿名には人権がない。即ち、匿名サイトで実名が匿名を虐めたい放題できるが、匿名の方は悪質性が強ければ、不法行為になる、ということである。匿名はサンドバッグになるしかない。

b相手に中傷されて、同程度にやり返した場合。一定の対抗措置は不法行為をやめさせるものである。また、中傷している以上、中傷されるリスクを引き受ける義務があるとされる。更に中傷した側がやり返されて、訴訟しても、「危険回避を怠った」「危機に接近した」とされ、訴権を失う。但し、必要以上にやられ返されたら、この限りではない。

c相手が著名人またはパブリックフィギュアの場合。

程度問題による。公職に就いている者が対象である場合、給与が高い者や権力があるものほど甘受する義務があるとされる。首相とか最高裁判事とか参院議長、衆院議長なら何を言われても仕方ないが、村長なら仕事関係の批判くらいが限度である。また与党政治家の方が甘受する義務があり、都知事は閣僚より甘受しなければならない。

著名人は公務員でない場合の方が多いので、人格否定や信用毀損、根拠や信憑性なしで攻撃することは不法行為になる。

 

⑤悪質性

悪質性が強いと、民事賠償額も上がり、刑事罰になる可能性も高くなる。

a執拗性

b虚偽

c多人数または多人数と思わせて攻撃

d人格否定

ネット民がやりがちな、考えられるケースとしては、文脈を読まずに誰かのレスバトルに参加してしまうことである。不法行為をやっていた側の肩を持った場合、二人して悪質性認定され、共同不法行為となる。

また、複数のアカウント使って他者を攻撃すれば、悪質性が強いという評価を受ける。

尚、虚偽は悪質認定される条件で、真実ならば不法行為にならないということではない。

 

⑥aブログや動画配信で誹謗中傷は悪質性考慮せず、違法行為になる。

bブログのコメント欄で、ブログ主を誹謗中傷すれば、悪質性考慮せず、違法行為である。

c 日本では分からないが、アメリカの判例ではYouTubeのコメント欄は無価値であり、法の庇護下にない。

dブログのコメント欄で全く関係ない第三者を誹謗中傷し、そこに悪質性があれば、違法行為である。

e匿名サイトで特定個人を誹謗中傷すれば、違法行為である。

f匿名サイトに現れた特定個人を誹謗中傷し、そこに悪質性があれば、違法行為である。

 

⑦時効

投稿が削除されない限り、時効が消えることはない。時効は投稿が削除された日時から数えることになる。

 

Dネット上で誹謗中傷などを行った者への現実的なペナルティ

ネット規制法の目的の一つに重大犯罪の抑止というものがある。ネット上の誹謗中傷や嫌がらせ行為は重大犯罪ではない。ネット民は通り魔的犯罪を行う可能性があると政府が見做しているということだ。なんらかの統計データを持っていると考えられる。従って、政府はネット上で不法行為を行う者のデータを欲しがっている。

 

①警察や検察の点数稼ぎ

ネット上で不法行為を行う者の多くは支離滅裂である。従って、警察がある程度めちゃくちゃな手続きを踏んでも、押し通すことができる属性となる。検察としても裁判員を容易に説得できる。しかも政府が「重大犯罪を行う可能性がある」としている、監視対象にするべき存在である。これほど美味しい鴨はない。

 

②対象の社会サービス利用をサポタージュ

そのようなネット民は生活保護や社会的弱者を口汚く罵っていることが非常に多い。彼らの投稿内容を役所が知っていれば、彼らの投稿内容をそっくりそのまま彼らに用いることができ、真に社会資源が必要な人に社会サービスを回すことができる。

 

弁護士会照会制度や法務省は準法的機関

ネット上と言っても、名誉毀損は準刑法犯である。仮に民事訴訟を提起されなかったとしても、弁護士会照会制度や法務省を通ってしまった時点で不法行為自体は事実上成立している。

被害者がそれらのデータを公権力に流せば、公権力即ち、警察や検察などの法務省のデータベースや役所などに共有される。私は法的に問題があると考えるが、大企業は既に法務省のデータを流して貰っているため、ネット上の名誉毀損を行った者のデータも大企業に共有される。

 

④ネット上で不法行為をし、それを被害者に照会された場合のまとめ

a公権力にマークされる。

b社会サービスを受けにくくなる。

c大企業に就職できない。就職していた場合、出世できない。

d銀行から融資など、大企業と取引しに難くなる。

 

まともな暮らし、まともな人として発言したいならば、まともな手段で発信するようにしましょう。

 

11/24付け加筆

河野太郎が首相になった場合、彼はネトウヨからの支持を基盤にしているため、ネット規制は行われないだろうと予想される。しかしネット民にすればこれは良いニュースではない。

日本は全世界的にネットの正常化が遅れている。グローバルでは、アフリカよりも悪いという評価だ。即ち体制としては、ネット規制法成立が遅れれば遅れるほど、早期に急激にネット規制を行う必要がある。そのため、ネット規制法成立が遅れれば遅れるほど、ネット規制法案は厳罰化される。

例えばマイナンバーカードにネット上の誹謗中傷の記録を残されたり、全行政機関並びに大手銀行などに情報を共有化されたり、民事裁判になれば直ちに全行政機関並びに大手銀行に情報を共有化されたり、できるようにするような条項が付け加えられる可能性が極めて高い。99.99%くらいの可能性である。

ネット上で誹謗中傷している人間にとって、一年遅れれば社会的に死なないが、二、三年遅れれば確実に社会的な死を招くような立法並びに行政行為をされるということである。