merlinrivermouth’s diary

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生きづらいとされる新自由主義的社会の簡潔かつ明瞭な分析

新自由主義的社会において、個人の社会的地位は富に比例します。源蓄財、余剰資本があればあるほど富が増えるのが資本主義であり、新自由主義的社会はそれを最大化させています。

当然ながら上位10%ほどしかその恩恵に浴せませんから、ふつーにやれば民主主義上、制度として成立しません。

新自由主義的社会を実現させるためには、富や能力や労働価値に依らずに最低限の恩恵を与えてあげる階層を作る必要があります。即ちミッドミドルの階層です。アメリカでは白人のブルーカラー、日本では大企業のサラリーマンです。

新自由主義的社会における体制内のミッドミドルと体制外のロワーミドルとの能力、資格、労働価値はほとんど全く変わりません。アメリカでは人種構成が違い、日本では雇用形態が違います。

日本の雇用形態の違いは新卒の就職でほとんど決まります。日本の新卒一括採用システムは人材活用という面では非常に非効率です。事実上、能力、資格、労働価値に違いはなく、また労働者が資格を中途で得てもロワーミドルからミッドミドルへの転換は不可能です。

即ち日本の労働者を分断する雇用形態の違いは人種構成の違い並みに、市場原理的には正当性がありません。また、日本のミッドミドルの労働者は雇用形態によってロワーミドルを社会的に差別しています。

正当性が全くない、不公正な分断によって、体制内体制外が決まり、それをもとに差別が行われているのですから、生きづらいどころか殺伐としないわけがありません。

 

しかしミッドミドルは資産の維持を補償されている訳ではありません。あくまでロワーミドルより収入がいいということを補償されています。労働価値がロワーミドルと変わらないという正当性がある以上、所得は減り続けます。

またミッドミドルは上の階層に行く可能性もほとんどありません。

アッパーミドルとされる階層は資産家階層の出自がほとんど全てです。東大の新入生で家庭の収入が400万以下なのはたったの20名です。つまり、教育投資というコストを考えた場合、ミッドミドルがアッパーミドルに成り上がることはほとんどありません。

つまり、殺伐とした空気を作るミッドミドルは徐々に収入が少なくなり、一発逆転もほとんど考えられない状況だ、ということです。唯一の自己確認が雇用形態の違うロワーミドルを虐めることですから、そりゃ虐めにも必死さが加わります。

 

そのような階層を、社会的観点を無視して、個人的にブルジョワの階層が観れば、ブルジョワとアッパーミドルはミッドミドル以下を同じ人間種とは思えにくいです。中には彼らを賎民のように見える人もいるでしょう。

なので、意思決定機関は大衆に厳しい政策を行うことに道義上のブレーキのかかりが弱くなります。

ますますミッドミドル以下が搾取されて、以下略。

 

新自由主義的社会は階層や階級とかと別に、細かく細分化された擬似的な身分を作っています。生きづらいのは当たり前です。生きづらくないのは分断化されていない資産家だからで、労働者たるミッドミドル以下の生活とかあんまり見えていないだけです。